八角ナットとは?
八角ナットとは、外形が八角形(8辺)の形状をしたナットのことです。 一般的なナットといえば六角形(6辺)の「六角ナット」が標準品として広く流通していますが、設計上の要求や意匠性・機能性の観点から、八角形や多角形など特殊形状のナットが採用されるケースがあります。
八角ナットは市販されている規格品が少なく、多くの場合、丸棒材(丸材)からの旋盤加工・マシニング加工によって特注製作されます。そのため、一般的なホームセンターや商社では入手が難しく、加工実績のあるメーカーへ直接相談することが一般的です。
八角ナットは「特殊ナット」の一種です。六角ナットをはじめとする規格品では対応できない寸法・形状・用途の要求に応えるために製作されます。当社では、小ロット(50個〜)からの特注製作に対応しています。
八角ナットの特徴とメリット
八角ナットには、六角ナットにはない独自の特徴とメリットがあります。主なポイントを以下にまとめます。
高い意匠性
六角より辺数が多く、見た目が洗練されています。外観が重視される機器・装置の締結部品として採用されます。
工具掛かりが安定
辺数が増えることで、スパナやレンチを掛ける角度の自由度が上がり、狭いスペースでの締め付けが容易になります。
回転止めの効果
八角形状は穴形状と組み合わせることで回り止めの機能を持たせやすく、ロック機構として活用できます。
特注サイズ対応
規格外のネジ径・ピッチ・高さ(厚み)に対応できるのが特注品の強み。図面支給でも対応可能です。
六角ナットとの違い
八角ナットと六角ナットの主な違いは以下のとおりです。設計・調達の際にご参考ください。
| 比較項目 | 六角ナット | 八角ナット |
|---|---|---|
| 辺数 | 6辺 | 8辺 |
| 規格品の入手 | ◯ JIS規格など標準品あり | △ 市販品は少なく特注が主 |
| 意匠性・外観 | 標準的 | 高い(洗練された見た目) |
| 工具掛かりの自由度 | 標準的 | やや高い(掛け角が多い) |
| 回り止め機能 | 形状依存 | 組み合わせ次第で実現しやすい |
| 加工コスト | 低い(規格品) | やや高い(特注加工) |
| 小ロット対応 | ◯ | ◯(当社:50個〜) |
コスト面では六角ナット(規格品)が有利ですが、見た目・機能・サイズの自由度を求める場合には八角ナットが有効な選択肢になります。「規格品では対応できない」という場合は、ぜひご相談ください。
主な使用用途・使用される場面
八角ナットは以下のような分野・場面で使用されます。
意匠性が求められる機器・装置
産業機械・電子機器・医療機器などの外装部分や、ユーザーが目にする締結部に使用されます。六角ナットと比べ外観が整然とした印象を与えるため、設計者が意図的に採用するケースがあります。
狭所での締め付け作業
辺が多いほど工具を掛けられる角度の選択肢が増えるため、スペースが制限された部位でも締め付けやすくなります。
回り止めが必要な部位
八角形状の穴(ソケット形状)と組み合わせることで、ナットが共回りしない構造を作ることができます。
特注寸法・特殊ネジが必要な場合
M30×1.5など細目ピッチや、高さ・外形が規格外の場合も、旋盤加工による特注対応が可能です。
当社では「高い意匠性が求められる」用途向けに、SUS304製・八角 H36×12L M30×1.5 の八角特殊ナットを製作した実績があります。丸材から加工し、2級ねじ(一般公差)で仕上げました。1級ねじ(厳しい公差)にも対応可能です。
材質の選び方
八角ナットに使用できる材質は複数あります。使用環境・目的に応じて最適な材質をお選びください。
| 材質 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| SUS304(ステンレス) | 耐食性・耐熱性に優れ、磁性なし。最も広く使われるステンレス | 食品機械、医療機器、屋外装置 |
| SUS303(ステンレス) | 被削性がよく加工コストを抑えやすい。SUS304より耐食性やや劣る | 精密機器、量産部品 |
| S45C(炭素鋼) | 強度が高く汎用性あり。表面処理(黒染め等)で防錆対応 | 産業機械、一般機械 |
| C3604(快削黄銅) | 電気伝導性・加工性に優れる。軽量でコスト低め | 電子・電気機器、精密機器 |
| チタン | 軽量かつ高強度。耐食性・生体適合性が高い | 航空宇宙、医療、高級機器 |
「どの材質を選べばよいかわからない」という場合でも、使用環境・必要な強度・コスト感をご共有いただければ、当社が最適な材質をご提案いたします。お気軽にご相談ください。
当社の八角ナット製造実績
当社カドクラでは、以下の八角特殊ナットの製造実績があります。
この製品は高い意匠性が求められる場面で使用されました。丸材から加工することで、規格品では対応できない八角形状・特殊ネジ径を実現しています。
特注八角ナット製造の流れ
当社への特注八角ナットのご依頼は、以下の流れで進みます。
お問い合わせ・ご相談
電話・メールにて「八角ナットを製作したい」とお伝えください。図面がなくてもサイズ・材質・用途をお聞きしながらご提案いたします。
図面・仕様の確認
お客様支給の図面、またはヒアリング内容をもとに製作仕様を確定します。公差・表面処理・ネジ規格などを詳細に確認します。
お見積もり・納期回答
仕様確定後、ロット数・材質・加工内容をもとにお見積もりを提示いたします。小ロット(50個〜)にも対応しています。
加工・品質検査
旋盤加工にて八角形状・ねじ加工を実施。寸法・精度の検査を行い合格品のみ出荷します。
納品
全国対応可能。必要に応じて品質証明書・材料成分表のご提供も可能です(要相談)。
まとめ
八角ナットは、意匠性・機能性・工具掛かりの自由度という面で六角ナットにはない優位性を持つ特殊ナットです。市販品が少ないため、多くの場合は特注製作が必要となりますが、当社カドクラでは旋盤加工による小ロット・特注対応を得意としています。
「寸法が特殊で規格品では対応できない」「見た目にこだわった締結部品が必要」「小ロットで試作したい」——そのようなご要望をお持ちの方は、ぜひ当社にご相談ください。図面支給・仕様ヒアリングから対応いたします。


