真鍮ナットとは?

真鍮ナットは、真鍮製のナットのことです。真鍮の特性から多岐にわたる分野で利用される締結部品です。機械・装置設計において適切な真鍮ナットを選定するためには、その基本的な特性を深く理解することが不可欠です。

真鍮(黄銅)とは?

真鍮は、主に銅と亜鉛の合金であり、その配合比率によって様々な種類が存在します。一般的に「黄銅」とも称され、美しい黄金色の光沢を持つことから、古くから装飾品や美術工芸品にも用いられてきました。工業用途においては、その優れた加工性、耐食性、電導性などが高く評価され、多種多様な製品に採用されています。特に機械加工が容易である点は、複雑な形状や精密な寸法が求められる部品製造において大きな利点となります。

真鍮ナットの主要な特性

真鍮ナットが持つ主要な特性は、その材質である真鍮の特性に由来します。

  • 耐食性
    真鍮は、空気中や水中、特定の化学薬品に対して優れた耐食性を示します。これにより、錆びにくく、長期間にわたって安定した性能を維持することが可能です。特に、水回りや海洋環境下での使用においてその真価を発揮します。
  • 電導性
    銅を主成分とするため、高い電導性を持っています。この特性から、電気・電子機器の内部配線や端子部分など、電流を安全かつ効率的に流す必要がある箇所で頻繁に採用されます。
  • 非磁性
    真鍮は磁性を帯びない非磁性体です。磁場の影響を受けやすい精密機器や医療機器、計測器などにおいて、誤作動やノイズの発生を防ぐために重要な特性となります。
  • 加工性
     切削加工やプレス加工が非常に容易であり、複雑な形状や高精度な加工が求められる部品の製造に適しています。これにより、設計の自由度が高まり、様々な用途に合わせたカスタマイズが可能になります。
  • 強度・硬度
    比較的低い引張強度と硬度を持ちますが、これは加工のしやすさというメリットにつながります。締結部品としては十分な強度を確保しつつ、相手材を傷つけにくいという利点もあります。

真鍮ナットのメリット・デメリット

真鍮ナットが持つ主要な特性は、その材質である真鍮の特性に由来し、設計上および製造上において多くのメリットをもたらします。一方で、その特性ゆえのデメリットも存在します。しかし、これらは適切な選定や対策によって解決可能です。

メリット

  • 耐食性
    空気中や水中、特定の化学薬品に対して優れた耐食性を示し、錆びにくく長期間にわたって安定した性能を維持します。これにより、水回りや海洋環境下での使用に適し、メンテナンス頻度の低減や製品全体の信頼性向上に貢献します。

  • 電導性
     銅を主成分とするため高い電導性を持ち、電気・電子機器の内部配線や端子部分など、電流を安全かつ効率的に流す必要がある箇所で安定した電気的接続を実現します。

  • 非磁性
    磁性を帯びない非磁性体であり、磁場の影響を受けやすい精密機器、医療機器、計測器などで誤作動やノイズの発生を防ぎ、安定稼働に貢献します。
  • 加工性
    切削加工やプレス加工が非常に容易で、複雑な形状や高精度な加工が求められる部品の製造に適しています。これにより設計の自由度が高まり、小ロットでの特注品生産にも柔軟に対応可能です。

  • 見た目の美しさ
    独特の黄金色は、特に意匠性が求められる製品や内部が見える構造の機器において、製品の質感を高める効果があります。

デメリット

  • 強度が低い
    ステンレスや鉄鋼に比べ引張強度や硬度が劣るため、非常に高い締結力や衝撃荷重が加わる箇所には不向きな場合があります。このため、必要な強度を考慮し、より肉厚な設計やねじ込み深さを確保する必要があります。締結トルクの管理も重要です。

  • 高価である
    他の汎用金属(鉄など)と比較して材料コストが高い傾向にあります。このため、真鍮の特性が不可欠な箇所に限定して使用することで、全体のコストを最適化します。

  • 変色する可能性
    時間の経過や特定の環境下で、表面が酸化して変色する可能性があります。必要に応じて、変色防止のための表面処理(クリアコーティング、メッキなど)を施すことで、見た目を維持し、耐食性をさらに向上させることが可能です。

 

真鍮ナットが選ばれる具体的な用途

真鍮ナットの優れた特性は、幅広い分野での採用を可能にします。電気・電子機器分野では、高い電導性非磁性が回路基板の固定や端子接続に不可欠です。建築・内装分野においては、その美しい黄金色の外観がデザイン性を高め、優れた耐食性と共に長期間の美観維持に貢献します。配管・水回り分野では、水や湿気に対する高い耐食性が錆や腐食を防ぎ、信頼性の高い接続を実現します。さらに、医療機器では非磁性加工精度の高さが、船舶部品では塩害への耐性が評価されるなど、多岐にわたる特殊用途でもその真価を発揮します。

 

 

設計段階で考慮すべき真鍮ナットの選定ポイント

真鍮ナットを選定する際には、以下の点を総合的に考慮することで、最適な製品を見つけ、設計の成功に繋げることができます。

  1. 使用環境の確認
    湿気、温度、化学物質の種類など、ナットが曝される環境を詳細に把握し、必要な耐食性や耐熱性を満たす真鍮の合金種類や表面処理を選定します。特に、水回りや屋外など腐食しやすい環境では、めっき処理などを検討することが重要です。

  2. 必要な強度と締結力の評価
    真鍮は鋼材と比較して強度が劣るため、高い引張荷重やせん断荷重が加わる箇所では、他の材質との併用や、より大きなサイズのナットの使用、あるいは締結方法の再検討が必要です。設計計算に基づいて、適切な安全率を見込むことが求められます。

  3. 加工性とコスト
    複雑な形状や精密な寸法が求められる場合、真鍮の優れた加工性はコスト削減に寄与します。ただし、材料費は他の汎用金属より高価な場合があるため、全体的なコストバランスを考慮し、本当に真鍮でなければならないかを検討します。

  4. 供給体制とロット数
    特注品や小ロットでの生産が必要な場合は、多品種少量生産に対応できるサプライヤーの選定が重要です。初期費用ゼロでの対応や、迅速な納期に対応できるかどうかも確認すべきポイントです。

当社だからこそ可能な特注・小ロットの真鍮ナットの製作

機械・装置メーカーの設計・開発担当者が直面する一般的な真鍮ナットの課題に対し、株式会社カドクラは貴社のニーズに合わせた真鍮ナットの製作を通じて、設計の自由度向上、コスト削減、そして品質の確保を実現します。

初期費用ゼロで実現する特注真鍮ナットのコストダウン力

特注品や小ロット生産において大きな障壁となる金型製作の初期費用を、株式会社カドクラは機械加工を主体とすることでゼロに抑えます。さらに製造直売体制により中間マージンを排除し、100個〜1,000個ロットの中量生産において圧倒的なコストダウンを実現。試作開発から量産移行まで、経済的なメリットを享受いただけます。小ロットの特注真鍮ナットも、高コストを懸念することなく調達可能です。

難削材・複雑形状にも対応する精密加工技術

真鍮加工は得意としつつも、複雑形状や高度な精度を要する製品には専門技術が必要です。株式会社カドクラは長年の経験と実績に裏打ちされた精密加工技術により、一般的な真鍮ナットでは困難とされる複雑形状や微細な加工に対応します。

不適合ゼロを目指す安心安全の品質管理体制

株式会社カドクラは「顧客の信頼を得る要求品質の製品を提供し限りなく不適合を”0”にする!」という品質方針を掲げています。この理念に基づき、お客様の図面通りに製品を確実に製作するため、徹底した品質管理体制を構築。手作業検査に加え、画像検査機などの最新設備を用いた検査を徹底し、不適合品の流出を限りなくゼロに近づけます。設計・開発担当者の皆様が求める高い品質基準をクリアし、安心して製品をご利用いただける真鍮ナットを提供します。

 

 

真鍮ナットの製品事例をご紹介

六角ナット(真鍮)

六角材にねじ下穴を開け、突っ切り仕上げを実施後、タップ加工、洗浄を行い納品をしました。

真鍮は、その他の材質と比較して粘度が高いため、切削速度を1段階遅くして加工する必要があります。

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産業機械向け ストレートスペーサー(C3604)

C3604は、C2801に鉛を添加することによって切削性を良くした黄銅のことをいい、高速自動盤加工に適しています。また、切削性に優れることに加えて、錆びにくいという特徴があります。材質がC3604、それに加えてサイズが4.5Lと薄く、加工後に変形しやすい(やわらかい)、キズが付きやすい製品でした。そのため、変形しないように慎重に加工する必要がありました。

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産業機械向け ストレートスペーサー(C3604BD)

本製品は、C3604BDのストレートスペーサーです。主に産業機械の業界に使用されます。C3604は、C2801に鉛を添加することによって切削性を良くした黄銅のことをいい、高速自動盤加工に適しています。丸棒材を使用し、更に引抜きしているため、C3604BDを表記しています。

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