インサートカラーとは?

インサートカラーとは、「insert(挿入)」という言葉が示すとおり、合成樹脂や軟質素材の内部にインサート成形(埋め込み)することで、接合部を強化するために使用されるカラー(筒状部品)です。ファスナーパーツの一種として、樹脂部品の強度・耐久性を高める目的で幅広い産業機械・装置に用いられています。

通常のカラー(ストレートカラー)は金属同士の間隔保持や位置決めを主な目的としますが、インサートカラーは樹脂と金属を組み合わせた接合部の補強という、より特化した役割を担います。

 

当社(カドクラ)では、SS400をはじめとした各種材質によるインサートカラーの特注製作に対応しています。三価クロームメッキ等の表面処理も一貫して手配可能です。

 

インサートカラーの仕組みと役割

インサートカラーは、主に以下の仕組みで機能します。

 

樹脂部品への埋め込み補強

樹脂成形品のボルト穴・ネジ穴に金属製カラーを圧入またはインサート成形で埋め込むことで、樹脂だけでは耐えられないボルト締め付けトルクや繰り返し荷重に対応します。

 

接合強度の向上

金属カラーが荷重を受け持つことで、樹脂部品の割れ・変形・ネジ山の損傷を防止します。長期使用における信頼性が大幅に向上します。

 

寸法精度の確保

金属部品として精度よく製作されるため、ボルト穴の内径精度・位置精度を高精度に保てます。樹脂成形単体では困難な寸法管理が可能になります。

 

繰り返し締結への対応

樹脂のみのボルト穴は繰り返し着脱によって摩耗・変形しますが、金属インサートカラーを使用することで繰り返し締結にも耐えられる構造になります。

 

ストレートカラーとの違い

カラーの中で最も一般的な「ストレートカラー」と「インサートカラー」は、見た目は似ていますが用途・設置方法が大きく異なります。

ストレートカラー
金属部品間での使用

回転体の軸端に取り付け、位置決め・間隔保持・スペーサーの代替として使われる最も標準的なカラーです。

金属同士の間に挟み込む形で設置。ボルト・シャフトの固定や余分なスペースの排除に使用されます。

素材:SS400・SUS304・S45C・真鍮・アルミなど幅広く対応。

インサートカラー
樹脂部品との組み合わせ

合成樹脂(プラスチック)部品へのインサート成形・圧入による接合部補強が主目的です。

樹脂内部に埋め込んで一体化させることで、ボルト締結部の強度・耐久性・繰り返し締結への耐性を向上させます。

素材:SS400・ステンレス等の金属素材で製作し、樹脂と組み合わせて使用。

 

「位置決め・間隔保持が目的」→ ストレートカラー、「樹脂部品の接合補強が目的」→ インサートカラー、という使い分けが基本です。用途が不明確な場合はお気軽にご相談ください。

 

カラーの種類一覧

カラーにはインサートカラー・ストレートカラー以外にも多くの種類があります。設計・調達の際にご参考ください。

種類 形状・特徴 主な用途
ストレートカラー 最も標準的な円筒形。内外径が均一 軸端の位置決め、間隔保持、スペーサー代替
インサートカラー 樹脂部品に埋め込んで使用する金属製カラー 樹脂部品ボルト穴の補強・締結強度向上
つば付きカラー(フランジカラー) 端部につば(鍔)が付いた形状 軸方向の固定・抜け防止・位置決め
セットカラー 止めネジで軸に固定するタイプ プレート・ブラケットの取り付け、シャフト固定
異形状カラー 小判型・多角形・楕円形など非円形断面 回り止め・特定形状への嵌合が必要な箇所
スロット穴カラー 側面に長穴(スロット)が入った形状 調整代が必要な機構部品
精密カラー 高精度公差(数μm台)で仕上げたカラー 精密機器・計測器・半導体装置
 

主な使用用途・使用場面

インサートカラーは以下のような分野・場面で使用されます。

産業機械・自動化装置の樹脂筐体

産業機械のカバー・ケース・パネルなど、樹脂(プラスチック)部品のボルト穴部分に金属インサートカラーを埋め込むことで、繰り返しの着脱・メンテナンスに耐えられる堅牢な締結部を実現します。

電子・電気機器の樹脂筐体

制御盤・電子機器ケースなど、軽量化のために樹脂を採用しつつ、ボルト穴だけは金属補強が必要なケースで広く使われます。ネジ山の損傷リスクを大幅に低減できます。

自動車・輸送機器部品

自動車内装・外装部品や輸送機器の樹脂パーツへのインサートカラー採用は一般的です。振動環境下でも緩まない強固な締結が必要な部位に用いられます。

医療・食品機器

ステンレス製インサートカラーは衛生性・耐薬品性が求められる医療機器や食品機械でも採用されます。アルマイトやメッキ処理を施すことでより高い耐食性を確保できます。

製品事例ポイント

当社では産業機械向けにSS400製インサートカラーを製作した実績があります。SS400の丸棒材に穴あけ加工を行い、両端の面取り処理を施したのち、三価クロームメッキで防錆仕上げを行っています。

 

材質・表面処理の選定ポイント

インサートカラーの材質・表面処理は、使用環境・要求仕様によって選定します。

材質の選定

材質 特徴 主な選定理由
SS400(鉄) 安価・加工しやすい。表面処理で防錆対応 コスト重視・一般産業機械向け
SUS304(ステンレス) 耐食性・耐熱性に優れる。表面処理なしでも使用可 湿潤環境・食品・医療・屋外使用
S45C(炭素鋼) 強度・硬度が高い。焼き入れで更に高強度化可 高強度締結が必要な部位
C3604(快削黄銅) 電気伝導性・加工性に優れる。非磁性 電子・電気機器、精密機器
アルミ 軽量。熱伝導性が高い 軽量化が重要な機器、放熱用途

表面処理の選定

 

三価クロームメッキ

鉄製カラーの防錆処理として最も一般的。環境負荷の少ない六価クロムの代替処理として広く採用されています。産業機械・自動車部品での採用が多く、当社の実績品にも施しています。

黒染め(黒色酸化処理)

鉄素材への低コストな防錆処理。外観を黒色に統一したい場合にも採用されます。耐食性は三価クロームより低いため、グリスアップ併用が推奨されます。

 

アルマイト処理(アルミ向け)

アルミ素材のカラーに対して施す表面処理。耐食性・耐摩耗性を向上させます。着色も可能で、識別・美観目的でも使用されます。

 

無処理(ステンレス)

SUS304等のステンレスカラーは自然の酸化皮膜により耐食性があるため、表面処理なしで使用できるケースが多いです。コスト削減につながります。

 

「使用環境・要求性能・コスト目標」をお知らせいただければ、当社が最適な材質・表面処理の組み合わせをご提案します。図面支給・寸法ご指定どちらにも対応可能です。

 

当社の製作実績

当社カドクラでは以下の仕様のインサートカラー(SS400製)を製作した実績があります。

本製品はSS400の丸棒材から穴あけ加工を行い、両端の面取り処理を施した後、三価クロームメッキで仕上げています。産業機械の樹脂部品接合部の補強カラーとして納品しました。

→ SS400 インサートカラーの製品ページはこちら

アルミ・ステンレス・銅・真鍮・チタン・インコネル・ハステロイなど幅広い材質への対応も可能です。

 

特注インサートカラー製作の流れ

当社へのご依頼から納品までの流れです。

お問い合わせ・ご相談

電話・メール・お問い合わせフォームからご連絡ください。図面・スケッチがあればスムーズです。サイズや用途だけの段階でもお気軽にご相談ください。

仕様確認・お見積もり

内径・外径・長さ・材質・表面処理・ロット数をヒアリングしてお見積もりをご提示します。参考価格はご相談のうえ確定します。

加工(穴あけ・面取り・仕上げ)

丸棒材からの穴あけ加工・端面処理をNC旋盤にて実施します。寸法精度・公差の確認も行います。

表面処理

三価クロームメッキ・黒染め・アルマイトなど指定の表面処理を協力工場と連携して一貫手配します。

品質検査・納品

寸法・外観・表面処理状態を検査し、合格品のみ出荷します。全国対応可能。品質証明書も要相談で対応します。

 

まとめ

インサートカラーは、樹脂部品への埋め込みによって接合部の強度・耐久性・繰り返し締結への耐性を高める金属製カラーです。ストレートカラーとは設置方法・用途が異なり、適材適所の選定が重要になります。

当社カドクラでは、SS400・ステンレス・アルミをはじめとした各種材質でのインサートカラー特注製作に対応しています。三価クロームメッキ等の表面処理も含めた一貫対応が可能です。「市販品では寸法が合わない」「小ロットで試作したい」「表面処理まで一括で頼みたい」という場合は、ぜひお気軽にご相談ください。