機械や装置の設計において、六角ナットは単なる締結部品以上の役割を果たすことがあります。「既製品のステンレスナットでは強度が足りない」「腐食の激しい環境で使える特殊合金のナットが欲しい」「装置の軽量化のために材質を見直したい」といった課題を抱えていませんか?特殊な環境下で使用されるナットは、その材質選び一つで製品の寿命や安全性が大きく左右されます。本コラムでは、特殊ナット製造において知っておくべき材質の特徴と、最適な選び方のポイントを詳しく解説します。

特殊ナットの材質選定が重要な理由

過酷な現場で機能を維持するための「環境耐性」

特殊ナットが導入される現場は、常に材料にとって過酷な条件との戦いです。例えば、化学プラントや海洋設備では、酸・アルカリ・海水といった腐食のリスクがあります。また、エンジン周辺や加熱炉などの高温環境では、材料が熱によって柔らかくなる「軟化」が起き、締結力の低下を招きます。さらに高圧環境下では、材質自体の強度が不足するとネジ山が変形し、二度と取り外しができなくなるケースも少なくありません。温度や湿度等に屈しない最適な材質を選ぶことが、製品全体の信頼性を支える強固な基盤となります。

製品の性能を最大限引き出す

現代の精密モノづくりにおいて、ナットには物理的な「機能」も求められます。航空宇宙やロボット産業では、わずか1グラムの軽量化が燃費や動作精度に直結するため、チタンやアルミ合金、高機能樹脂といった「軽くて強い」素材の採用が不可欠です。一方、医療機器や半導体検査装置では、磁気が装置の動作を妨げないよう「非磁性」が絶対条件となります。その他にも、電気回路の接続部で求められる「導電性」や、温度変化による微細なズレを嫌う精密光学機器での「熱膨張率の抑制」など、材質が持つ独自の特性を設計に組み込むことで、製品の性能を最大限に引き出すことが可能になります。

組み立て後まで見据えた材質選定

設計段階で見落とされがちなのが、相手材(ボルトやベース材)との相性によるトラブルです。異なる金属を接触させた状態で水分などの電解質が介在すると、電位差によって一方の金属が急速に腐食する「異種金属接触腐食(電食)」が発生します。また、ステンレス同士の締結や高温環境では、ネジ山同士が凝着して動かなくなる「かじり・焼き付き」が頻発し、メンテナンス時の大きな障害となります。これらを防ぐには、表面処理の検討はもちろん、あえて異なる材質を組み合わせたり、熱膨張率の近い素材を選定したりと、組み立て後の運用フェーズまでを見据えた戦略的な材質選定が不可欠です。

 

材質分類 代表的な素材 特徴と主なメリット 主な用途
ステンレス鋼 SUS304 / SUS316L 極めて高い耐食性と強度を兼ね備える。316Lはさらに耐薬品性に優れる。 医療機器、食品機械、半導体製造装置
銅合金 真鍮 (C3604) / 銅 切削性に優れ、複雑な形状も安価に加工可能。導電性・熱伝導性が高い。 電気・電子部品、水回り、ガス器具
アルミ合金 A2017 / A7075 鉄に比べ約3分の1と軽量。7075(超々ジュラルミン)は鋼材並みの強度。 航空宇宙、自動車、ロボットアーム
難削材・高機能材 チタン / インコネル 耐熱性・耐食性が極めて高いが加工は困難。チタンは非磁性で生体親和性も。 化学プラント、航空エンジン、海洋設備
樹脂・プラスチック PEEK / POM / PTFE 絶縁性、耐薬品性に優れる。金属に比べ非常に軽量で、電食の心配がない。 半導体装置、絶縁ボルト受け、医療用

特殊カラー・スペーサー製造.comの強み

難削材・特殊材質への圧倒的な対応力

チタン、インコネル、ハステロイ、あるいはインバーといった難削材は、粘りや硬度のためにネジ山の「むしれ」や工具の破損が起きやすい非常に繊細な素材です。当社では、最新のNC旋盤設備と、長年の経験に基づいた独自の切削条件(刃物の選定、回転数、冷却方法)を組み合わせることで、難削材であっても滑らかで精度の高いネジ加工を実現します。「他社で断られた特殊な材質」こそ、当社の腕の見せ所です。

燕三条のネットワークを活かした一貫対応

当社は、自社での高精度旋盤加工はもちろん、燕三条地域の協力工場との強力なネットワークを保有しています。特殊な材料の調達から、熱処理、表面処理(メッキやアルマイト)までを一貫して管理。窓口を一つに絞ることで、お客様の管理工数を削減し、短納期かつ高品質な製品をお届けします。

特殊材質ナットの製作事例

M36【特殊六角ナット】電極用銅ナット  

この特注の電極銅ナットは、運送業界の厳しい使用環境に対応するため、「発熱抑制」と「強固な締結」を徹底的に追求しました。

一般的なワッシャーを使用せず、電極接触部に高導電性の銅材を一体化。さらに、独自の段付き構造と接触面の形状を工夫することで、電極間の隙間を完全に排除し、接触面積を最大限に広げました。これにより通電時の抵抗を大幅に低減し、異常発熱のリスクを極限まで抑制します。

また、ナットの締結部には、段付き構造の下部に丸みを持たせることで、触れる面積を増加。振動や衝撃に負けない強固で安定した締結力を発揮し、緩みを防止します。本体に採用した真鍮材は、高い加工性と耐久性を両立。高い導電性と信頼性が求められる運送業界の電極・端子接続部において、長期にわたる安定稼働を約束する製品です。

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六角ナット(真鍮)

こちらは、六角ナット(真鍮)の事例です。

六角材にねじ下穴を開け、突っ切り仕上げを実施後、タップ加工、洗浄を行い納品をしました。

真鍮は、その他の材質と比較して粘度が高いため、切削速度を1段階遅くして加工する必要があります。

当社では、丸物部品を図面製作にて対応可能です。特注サイズ・形状の丸物部品は、当社にお任せください!

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M10 左ネジ 高ナット

こちらは、M10左ネジ 高ナットの加工事例です。

規格品の場合は、M10だと高さ8㎜が一般的ですが、こちらの製品は、高さ20mmの製品になります。

加工方法は、タップの下穴を行った後、30°の面取りを実施しました。

その後、長さに合わせて切断し、ボール盤にてタップ加工を行いました。

(追加工・指定刻印も対応いたします。)

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特殊ナットの特注・材質相談は当社にお任せください

「図面はないが、現物から同じものを作りたい」「材質選定から相談に乗ってほしい」といったご要望も大歓迎です。

特殊スペーサー・カラー製造.comを運営する株式会社カドクラは、試作から量産まで、燕三条品質の確かな技術でお応えします。材質の壁に突き当たった際は、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。加工のプロフェッショナルが、お客様の課題解決を全力でサポートいたします。

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