本記事では、段付きワッシャの機能と用途から始まり、選定における課題とポイント、旋盤加工によるコストダウンと特注対応の理由、実際の活用事例、そして当社へのご相談について詳しく解説いたします。

段付きワッシャとは?その機能と用途

段付きワッシャは、その名の通り、厚みや外径などが部分的に異なる形状を持つ特殊なワッシャです。一般的な平ワッシャとは異なり、段差があることで、複数の部品間の隙間調整、高さ調整、位置決め、緩み止めなど、多岐にわたる機能を発揮します。本項では、段付きワッシャの基本的な機能と具体的な用途について解説いたします。

段付きワッシャの基本的な機能

段付きワッシャの最も基本的な機能は、軸と座面の間、あるいは複数の部品間に介在することで、面圧を分散し、締め付け力を均等に伝えることです。段差があることにより、一点に集中しやすい力を分散させ、相手材の損傷を防ぐ役割も担います。また、段差を利用することで、部品同士の接触面積を調整し、摩擦力をコントロールすることも可能です。さらに、特定の部品を所定の位置に固定したり、軸方向の移動を制限したりする用途にも用いられます。

段付きワッシャの主な用途

段付きワッシャは、その多様な機能から、様々な産業分野で幅広く活用されています。具体的な用途としては、以下のような例が挙げられます。

  • 自動車産業: 車両のエンジン部品、足回り部品、内装部品など、振動や衝撃が多い箇所での緩み止めや位置決めに使用されます。
  • 機械産業: 工作機械、産業機械、搬送機械など、精密な位置決めや部品間の隙間調整が必要な箇所に用いられます。
  • 電子機器産業: 精密機器、電子部品、基板など、微細な部品の固定や絶縁、高さ調整に利用されます。
  • 建築・土木産業: 構造物の接合部や、高さ調整が必要な箇所で使用されます。

このように、段付きワッシャは、様々な製品の安全性、信頼性、機能性を向上させるために不可欠な部品と言えるでしょう。

 

段付きワッシャ選定における課題とポイント

段付きワッシャは多岐にわたる用途で利用される一方で、その選定にはいくつかの重要な考慮事項が存在します。不適切な段付きワッシャを選定した場合、部品の性能低下や早期破損、最悪の場合、重大な事故につながる可能性も否定できません。本項では、段付きワッシャを選定する際に考慮すべき主要な課題と、適切なワッシャを選ぶための重要なポイントについて解説します。

コスト

段付きワッシャのコストは、材質、サイズ、形状、ロット数など、様々な要因によって変動します。一般的に、特殊な材質や複雑な形状を持つワッシャ、あるいは少量生産の場合は、コストが高くなる傾向があります。しかし、安価なワッシャを選定した結果、必要な機能を満たせず、結果的に部品の交換頻度が増加したり、メンテナンスコストが増大したりする可能性も考慮しなければなりません。初期コストだけでなく、長期的な視点でのコストパフォーマンスを検討することが重要です。

材質

段付きワッシャの材質は、使用環境や相手材との適合性を考慮して選定する必要があります。一般的な材質としては、鉄、ステンレス鋼(SUS)、黄銅などが挙げられますが、耐食性、強度、耐熱性、導電性など、求められる特性に応じて適切な材質を選択する必要があります。例えば、腐食しやすい環境で使用する場合はステンレス鋼、高い強度が必要な場合は高強度鋼といった選択が考えられます。

納期

必要な段付きワッシャが、規格品として市場に流通しているとは限りません。特に、特殊な用途や設計に対応した段付きワッシャの場合、特注での製作となることが多く、規格品に比べて納期が長くなる傾向があります。設計段階から必要な納期を考慮し、余裕を持った発注計画を立てることが重要です。また、サプライヤーの生産能力や過去の納期実績などを確認することも、安定した部品調達のためには不可欠です。

特注対応の可否

製品によっては、 規格品のな段付きワッシャでは対応できない場合があります。そのような場合には、特注での製作を検討する必要がありますが、全てのサプライヤーが特注に対応できるわけではありません。特注対応が可能かどうか、また、設計変更への柔軟性、少量ロットへの対応力なども、サプライヤーを選定する上で重要なポイントとなります。特に、試作品の開発段階や、多品種少量生産が求められる場合には、柔軟な特注対応力を持つサプライヤーを選定することが、開発期間の短縮やコスト削減につながる可能性があります。

 

旋盤加工が段付きワッシャのコストダウンと特注対応を実現する理由

段付きワッシャの選定における課題を踏まえ、本項では、旋盤加工がどのようにコストダウンを実現し、特注対応を可能にするのか、その具体的な理由について解説いたします。

旋盤加工によるコストメリット

旋盤加工は、丸い材料を回転させながら刃物を当てることで、様々な形状を削り出す加工方法です。段付きワッシャの製造において鍛造と比較した場合、一般的に初期投資が抑えられるというメリットがあります。鍛造は金型を製作する必要があるため、特に少量生産の場合には金型費用が製品単価に大きく影響します。一方、旋盤加工は汎用性の高い工作機械と工具を使用するため、金型製作が不要であり、少量多品種の生産に適しています。

また、旋盤加工は比較的短いリードタイムで試作品や小ロットの製品を製作できるため、開発段階での設計変更にも柔軟に対応しやすいという利点があります。材料費においても、必要な部分だけを削り出すため、無駄を抑えることが可能です。これらの要因により、特に単品から小・中ロットの段付きワッシャの製造においては、旋盤加工がコスト競争力のある選択肢となり得るのです。

多様な材質への対応力

旋盤加工は、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム合金、黄銅などの一般的な金属材料だけでなく、チタン、インコネルといった難削材や特殊合金の加工にも対応できます。これは、旋盤に取り付ける工具の種類や切削条件を適切に調整することで、様々な材質の加工が可能になるためです。特に、特殊な環境で使用される段付きワッシャの場合、特定の材質が要求されることがありますが、旋盤加工であれば比較的柔軟に対応することができます。

小ロット・試作品への柔軟な対応

前述の通り、旋盤加工は金型が不要なため、少量生産や試作品の製作に適しています。必要な数量だけを、比較的短い納期で製作できるため、試作品の評価や設計変更を迅速に進めることができます。また、少量生産であれば、鍛造などの大量生産向けの加工方法と比較して、一つ当たりのコストを抑えることができる場合があります。

材料調達から完成までの一括受注も可能

チタン、インコネルなどの調達が難しい材料に対しても、材料調達から完成まで一貫対応いたします。当社で調達困難な材料に関しても、お客様支給であれば、問題なく、対応が可能です。また、量産に向けた部品製作の試作開発にも社内設備を用いて対応しており、図面通りの加工はもちろん、コストダウン・品質向上などのVA/VE提案活動なども行っています。

 

 

段付きワッシャの製品事例をご紹介

SUS304 段付きワッシャー

段付きワッシャSUS304製の段付きワッシャーになります。サイズはφ28.2×φ21.7×5Lです。

本製品のように、段付き部分を旋盤加工で削り出すことで、イニシャル費を削減し、コストダウンすることができます。

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建設機械・産業機械向け 段付きワッシャー

SS400 段付きワッシャー本製品は、SS400の段付きワッシャーです。主に本製品は、建設機械や産業機械に使用されます。段付きを入れているため、装置側との位置決め、密着度を上げるという効果があります。通常のストレートワッシャーに比べて、段付きを作る加工工程が増え、また切断工程があるため、通常は3工程必要になります。

一方、当社は先に段付き側を加工し、裏を加工するという工程のため、切断工程が無く、2工程で完了します。そのため、工数削減を実現し、トータルコストダウンを実現いたします。

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段付き偏芯ワッシャー

偏心ワッシャー本製品は、S45C(H)の段付き偏芯ワッシャーになり、建機業界に使用される製品になります。材質には、S45C(調質材)が使用されており、食い込み防止や母材の損傷防止、緩み止めなどを目的のために用いられます。

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段付きワッシャの選定・特注製作ならお任せください

段付きワッシャは、その機能と用途の多様性から、様々な産業分野において重要な役割を果たしています。適切な段付きワッシャを選定することは、製品の性能向上、コスト削減、そして安全性確保に不可欠です。

当社は、旋盤加工による段付きワッシャの設計・製作において、長年の経験と実績を有しております。お客様の多様なニーズに対し、コスト、品質、納期、そして特注対応の柔軟性でお応えいたします。チタンやインコネルなどの難削材への対応はもちろん、複雑な形状の段付きワッシャの製作、量産に向けた試作開発支援、VA/VE提案なども行っております。

もし、市販品では対応できない特殊な形状や材質、寸法が求められる場合や、小ロットでの製作をご検討されている場合は、お気軽にご相談ください。

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